インテリアコーディネーターが教える!
家具選びの豆知識
2024.5.10
照明器具は暗闇の中の空間をとらえるのに必要不可欠なものですが、「明るければよい」というものではありません。
人はたった一つのひかりの明るさから距離を認識しますが、光の使い方によって空間の捉え方は様々に変化するものです。例えば、光が届きにくい場所があるとそれで距離の認識ができ、空間に奥行を感じることができます。
昨今の日本における照明事情の特徴として、「部屋の畳数に応じた明るさの目安」や「ワット数の目安」を当てはめさえすれば、あとは「好みのインテリアテイストの照明器具を選べばOK!」という考えが根付いてしまっている傾向がありますが、これからは、消費者が快適に感じるような明かりや、SDGsをはじめとする環境にやさしい明かりを導入するのが好ましいです。
まず、どんな場所に設置するのかを考えます。
「場所」とは照明の場所を指すのではなく、例えば玄関・リビング・寝室・来客の間・趣味の部屋などの「空間」という意味合いになります。
●その場所には「どんな灯りを使用するか」、
●その灯りには「どれくらいの明るさを必要としているか」
という順序で検討していくことで、その場所に最適な照明を正しく選ぶことができます。
照明器具は、ひとつの空間につき2種類までにするのが基本です。
3種類以上の異なる器具が見えると、空間デザインは難しくなってしまいます。
場所 | 使用する灯り | 必要な明るさ |
---|---|---|
玄関 | 例)夜、穏やかな気持ちになる灯り | ランプの色は電球色や温白色。電球の場合は60ワット・LEDの場合は800ルーメン |
リビング | 例) 夕方から寝るまでの間に段々と暗くして、寝るのを邪魔しない灯り | |
寝室 | 例)ホテルのようにラグジュアリーなイメージの灯り | 睡眠時の常夜灯0.2ルクス~3ルクス |
来客の間 | 例)お部屋全体が明るくなること、そしてお酒を飲んだりするときは照明の明るさを落として雰囲気を楽しめる灯り | |
趣味の部屋 | 例)手芸をするので手元がしっかり見える灯り | 明る過ぎるのもよくないが、手芸の作業は細かな視作業なのでデスクライトで300~400ルーメン |
白熱灯 | 値段が安く、物の本来の色に近い色に再現できるよく使われてきました。フィラメントの寿命が短く、ランプ効率が悪いのが欠点です。 |
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ハロゲンランプ | 白熱電球よりも光が強く、熱を帯びます。強い光を放つため、スポット的に光量が必要となる場面で使用されています。電球自体のサイズが小さいため照明機器もコンパクトに抑えられ、設置コストの削減にも。 |
蛍光灯 | ランプ効率がよい、寿命も長いのが特徴です。 |
HIDランプ | 1灯あたりの光束が大きく白熱電球に比べて高効率・長寿命で経済性に優れています。点灯には、電流を制御する安定器が必要です。 |
LEDランプ (発光ダイオード) |
ランプ効率に優れ寿命も長い、近年飛躍的に増えているランプです。 |
従来の蛍光灯と比較すると、LED蛍光灯の方が光の広がりが狭く感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
購入されるときには、明るさと明かりの広がりの両面から選びましょう。
LED電球は、水分や湿気に弱い構造をしています。水滴のかかる状態や湿度の高いところでの使用は控えるようにしましょう。
また、LED電球は白熱電球に比べて やや重めにできています。
そのため、 デスクライトなどに使用した場合バランスが悪くなることも。重量にも気を付けながら選ぶことが大切です。
光源の光色を数値で表したもののことを色温度といい、単位は K(ケルビン)で表します。
青みがかった光ほど数値が高く、赤みがかった光ほど数値が低く表されます。
2600~3250K | 電球色 赤みがかったあたたかみのある光色。 |
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3250~3800K | 温白色 電球色と昼白色の中間色で、ややあたたかみのある光色。 |
4600~5500K | 昼光色 昼白色:さわやかな白い光色。 |
5700~7100K | 日中の自然光のような、青みがかった明るい印象の光色。 |
光源の光色を数値で表したもののことを色温度といいます。
暖かいお部屋がお好きな人は電球色を、明るい太陽のような色が好みであれば昼光色を選びましょう。
ただし昼光色は脳に刺激を与え運動や勉強に向いていますがその反面疲れやすくなります。
室内全体が均一な明るさになり、空間に安心感をあたえます。
一方で、必要のない部分まで同じように明るく照らすため、長時間いると退屈な印象になります。
必要な部分のみ明るく照らします。
明暗のコントラストがつき、部屋に雰囲気づくりをすることができますが、長時間いると目が疲れてしまいます。
例えば、作業面の机上面やキッチンの部分照明と、それより低い照度の全体照明を併用するなど、全体の明るさを部分照明の明るさの1/2~1/3 に調整します。
全体照明と部分照明の良いとこどりをすることで、省エネ効果にもつながります。
日本において「照明器具」という言葉を用いるようになったのは、大正に入ってからで、それまでは「電灯器具」通称「電灯」と称されており、また、それ以前の油やロウソクを用いた「明かり」は「灯具」と呼ばれていました。
ここでは電球を用いてデザインされた器具で、現在も愛用されている商品群を前提に各グループごとに紹介します。
素材特性と電球の廃坑特性を活かした照明器具。
● エミール・ガレのガラス卓上スタンド
● ティファニーランプ
1919(大正8)年に開校したバウハウスは1933 年に閉校となりますが、ここで行われた数多くの実験や試作は、様々なジャンルの現代デザインに影響を与えました。
● ポール・ヘニングセンのPH5
● ポール・ヘニングセンのPH Artichoke
● ジャック・ヤコブセンのラクソ
● コーレ・クリントの折笠シェード
● アルネ・ヤコブセンのAJ ランプ
工業生産を前提とする「シンプル・イズ・ベスト」この思想のアメリカンモダニズムが建築やデザイン界に影響を与えました。
● アキーレ・カスティリオーニのアルコ
● Parentesi
● フリスビー
● イサム・ノグチのAkari
● 倉俣史朗のK シリーズ
● 黒川雅之のコブラ
たすかーたそるてでは、さまざまな照明器具を実際にご覧いただけます。
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